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2023.06.22 栄養学・ペットフード

ペットフードと手作り食

動物(主に犬と猫)に与える食事には、大きく分けると「ペットフード」と「手作り食」があります。 それぞれに良い点と悪い点があるので、そららを知った上で選択する必要があります。

 

手作り食を否定するわけではありませんが、様々な疾患の治療を行う身としては、例外を除いて手作り食を積極的にはお勧めしておりません。

●手作り食を推奨しないケース:手作り食だけで生活していて、例えば治療に食事療法が必須の疾患にかかってしまった場合、いきなりペットフードを与えられても、大抵の場合、動物さんに受け入れてもらえません。

慢性腎臓病では低タンパク・低リン食の療法食で過ごすことで、寿命の長さに影響すことがわかっていますし、尿石症では結石を溶解したり結石を増やさない・大きくしない維持や、予防にも効果があります。手作りではなかなかこれらの疾患に対応できるレシピを再現することは極めて困難です。

また、手作りで使用する素材は、自然のものですので、例えば同じささみ肉100gを購入しても、水分含有量、栄養含有量もことなります。魚なんかは季節で全然違いますお野菜もですね。なので、なかなか量的計算が難しいです。

●手作り食を推奨するケース:食物アレルギーや腸管のリンパ腫や炎症性腸疾患(慢性腸症)の患者様には特別なレシピをお教えしております。ただし栄養学的に長期間の使用は向いていません。疾患と体重等を考慮して、素材の選ぶ方やそれぞれの量的提案をしています。

お誕生日やお正月など、特別な時に素敵な贈り物として与えられることを否定する気はありません。

 

食事 ペットフード 手作り食
良い点
  • 簡単に与えることができる。
  • “総合栄養食”であれば、水と一緒に与えるだけで犬や猫に必要な栄養を過不足なく満たして与えることができる。
  • 専門的な知識がなくても安心
  • 最近では多種多様なフードが有り、好みのものを選べるようになっている。

ペットフード画像

  • 愛情をこめてご家族で作ってあげられる(使う素材をご家族で選べる)
  • 食物アレルギーなどの疾患では、アレルゲンとしてわかっているものを確認して避けて与えられる。
  • 一部の消化器疾患では手作り食が有効になることがある。

手作り食画像

悪い点
  • メーカーも種類も多いので、何を基準に選んで良いか分からない。
  • 毎日の主食として与えるためには、手間がかかる
  • 専門的な知識が必要
  • サプリメントなどと併せて与えないと、栄養不足になる可能性がある。
  • 費用がかかりがち
  • 動物種の違いによって、与えてはいけない食材があり、避ける必要がある

上記は一例ですが、何を選んで良いかわからないとお困りの際は、当院のスタッフまでご相談ください。

 

文責:

獣医師、ペット栄養管理士、ペットフード安全管理者

神吉紀子

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