毎年3月26日を、パープルデーとして、世界中で “てんかん”に対する啓発を目的としたイベントが行われており、賛同する人々は、応援のメッセージと共に紫色のものを身につけます。
てんかんは決して珍しいものではなく、100人に1人が持つ病気です。
人と暮らす動物たちにもてんかんは見られ、犬や猫においても、発症率は人と同程度と考えられており、人と同じく、3月26日を、アニマルパープルデーとして啓発が行われています。
てんかんを患う動物さんに 寄り添うために、またそのご家族に寄り添えるように、 まずはてんかんについて学んでみていただければと思います。
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てんかんとは、「24時間以上の間隔を空けて少なくとも2回以上の非誘発性てんかん発作を示す」病態を指します。症状として、全身性のけいれんを伴う全般発作や、その他に「同じ行動を繰り返す」や「ハエ咬み行動」など全身性でない焦点性発作もてんかん発作に含まれます。
○原因
てんかんの原因として、大きく分けて、頭蓋内疾患や特発性、代謝性疾患などがあります。
(1)症候性てんかん
頭蓋内疾患が原因のてんかんです。
例) 脳腫瘍 脳炎 脳奇形(水頭症など) 脳血管障害など
(2)特発性てんかん
頭蓋内に病変が存在せず、原因が遺伝的素因以外に認められないてんかんです。
(3)おそらく症候性てんかん(潜因性てんかん)
明らかな器質的病変が認められず原因が特定できないため、特発性にみえるが本質的には症候性てんかんのことを指します。
(4)代謝性疾患
肝性脳症や低血糖、中毒など代謝異常により発作が誘発されます。
○検査・診断
まず、代謝異常がないか血液検査を実施します(上記原因の(4)に該当しないかどうか)。
代謝異常が認められない場合、MRI検査を実施することで頭蓋内疾患の有無を確認できます(上記原因の(1)がないかどうか)。
MRI検査で頭蓋内疾患が認められない場合、特発性てんかんもしくはおそらく症候性てんかんという診断になります。
その他、発作の初発年齢や頻度、身体検査、神経学的検査なども合わせて診断します。
特発性てんかんは初めて発作が出る年齢として1~5歳が最も多く、犬では多く、猫では比較的まれという特徴があります。
○治療
・症候性てんかん
頭蓋内疾患の治療、および抗てんかん薬を用いた内科療法を行います。
・特発性てんかん
抗てんかん薬を用いた内科療法を行います。
・代謝性疾患
原因となる代謝性異常の治療を行います。
てんかんの原因や頻度・程度により、内科治療を開始するタイミングや治療法が異なりますので、気になる症状がありましたら獣医師にご相談ください。
文責:獣医師 陣竹 千裕