異物の誤食は、日常の診療でしばしば遭遇する症例であり、ワンちゃんでは成犬より若齢犬に多く起こる事例です。
食べたものによっては気道や食道に詰まらせる場合や、腸閉塞や消化管穿孔などを起こし、死に至る場合もあるため、早期に治療を行う必要があります。
実際にあった誤食について紹介します。
治療には、
・催吐処置
・内視鏡による異物の摘出
・開腹手術
などが挙げられますが、食べた物の種類や形態、それらがどこにあるか(胃の中なのか、腸なのか)などで、
適応は分かれます。
なにより、まずは誤食が起こらないような生活環境、生活習慣をつけることが重要です。
下記をご参考にされてください。
台所などハイリスクな場所への立ち入りを必要であれば制限しましょう。
誤食しそうなものが犬の生活環境にないようにしましょう。
高めの位置からも取り出したり、蓋付きのゴミ箱でも、倒して巧みに中身を取り出したり、飼い主様が想定している以上の場所から、ものを取り出せることがあります。扉をロックできるようにしたり、重しを置いて、取り出せないように防御しましょう。
誤食の対照となるもので遊ぶより、より楽しく遊べるものを用意して興味をそらしましょう。中にフードを入れることができる知育玩具などは有効です。
誤食が発生する原因として飼い主の注意が得られるためというものがあります。物をくわえた際、飼い主さんが大きな声で叱ったり、追いかけたりすることでワンちゃんは遊んでもらえていると勘違いすることがあります。普段からおもちゃで “離して” の練習をして、適切でないものを口に入れた際も冷静に離してと声掛けすれば出すという訓練をしておくことをおすすめします。
ワンちゃんは、興味のあるものがあれば、口にしてしまうものですので、予防を第一にしていただき、
それでも、誤食が怒ってしまった場合には、速やかに受診してください。
その際は、何をどれだけ飲み込んだのかを可能な限り教えてください。
また、飲み込んでしまったものと同じものがあれば、ご持参ください。
文責:獣医師 花房 侑希